性感染症(性病)

性感染症(性病)とは

性感染症とは膣内性交(セックス)、口腔性交(フェラチオ)など性行為で感染する病気を総称したものです。ウィルス、細菌などが性器、尿道、肛門、口腔などに接触することで感染します。激しい症状をきたす疾患もありますが、症状が軽かったり、なかったりして気が付かないうち感染していることも多々あります。
当院では男性の性感染症に対する検査、治療を行っています。女性の方は婦人科を受診していただくようにしておりますのでご了承ください。

① 尿道炎(男性)

男性の尿道炎は性感染症に伴うものがほとんどです。
膣内性交や口腔性交により菌が尿道内に侵入、定着し排尿痛、排膿などの症状が起こります。原因菌は淋菌とクラミジアが約8割を占めており、両者が同時感染することもよくあります。症状は原因となる菌により異なっています。

淋菌性尿道炎

症状が強く、潜伏期間が短いのが特徴です。性交渉の1-7日後に強い排尿痛と多量の膿性分泌物を排出します。
淋菌は内服薬に対して耐性を獲得していることが多く注射による治療が主体になります。

クラミジア性尿道炎

淋菌性尿道炎と違い症状が出ないことが多く、無症状の保菌者が多数います。
症状が出現する場合でも潜伏期間が長く、性交渉の1-4週間後に排尿痛や排膿が出現します。排尿痛はごく軽度で、痛みではなく尿道の不快感、掻痒感を訴えて来院される方がほとんどです。排膿も膿というよりは水っぽい分泌物を少量排出いるだけのことが多いようです。
診断は尿中のクラミジア遺伝子を検出し確定します。治療は内服薬でほとんど治ります。

②梅毒

近年、著明に増加している性感染症です。特に岡山県では非常に多く、全国で3番目の発生数です。
梅毒は梅毒トレポネーマという細菌が性交渉の際、粘膜や小さな傷から侵入し、その後速やかに血行性・リンパ行性に全身に散布され様々な症状を起こします。

梅毒一次病変

感染から1か月前後には侵入した部にびらん、潰瘍、硬結ができ、そけい部のリンパ節が腫れてきます。

梅毒二次病変

感染から3か月後には病変は局所に留まらず、全身に広がります。主にかゆみのない皮膚の発赤が多発します。
梅毒は血液で梅毒トレポネーマ抗体を調べることで診断されます。治療は約1-2か月ペニシリン系抗菌剤の内服でほぼ治癒します。最近では1回の筋肉注射だけで治ることが多いです。

③尖圭コンジローマ

性器へのヒト乳頭腫ウィルス感染による性感染症です。性交渉から平均3か月程度の潜伏期を経て外性器(ペニス、陰嚢、膣など)や肛門周囲に直径2-3㎜前後の褐色のいぼができる疾患です。
治療は今までは液体窒素で凍結する治療、電気メス、レーザーなどで切除する手術が主流でしたが、最近では塗り薬での治療が可能です。

④性器ヘルペス

性交渉により単純ヘルペスウィルスが性器に感染することで発症します。2-10日間の潜伏期を経て外陰部に病変が出現します。
初期には性器にかゆみや違和感を伴った直径1-2㎜の水泡が出現し、2-3日で破れて痛みを伴った潰瘍を形成します。1週間前後に最も重症化しリンパ節の腫れや発熱を伴うこともあります。その後無治療でも症状が徐々に消失してくるのが自然経過です。
ただし、一度感染したウィルスは体内に潜んでおり、免疫低下状態になると症状が再発することがありますので大変厄介な病気です。
治療は症状が出ている時期に内服と軟膏塗布します。症状がない時期は治療不要です。